大沢俊介のブログ|SHITTAKA TOKYO

世の中を斜めの角度で歩く、大沢俊介の提供でお送りします。

平凡な日常を狂わされるほどの強く美しい描写、村上龍「限りなく透明に近いブルー」

   

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初めて作家を知ったとき、まず経歴を見る。これまでにどういうジャンルの本を書いているのか。代表作はなにか。そして、何歳にデビューしたのか、を見る。

作家になるということは何らかのテーマを描いていて、表現しようと思っていることになる。テーマとなる題材はその人が体験して、感じて描いてることが多いから、必然的に経歴に近いの題材が選ばれる。すると、若い作家よりも年齢を重ねた作家のほうがテーマが多様で、深みがあることも多い。しかし、村上龍の「限りなく透明な近いブルー」はオカシイ。

村上龍を知らない人も、ぼくの年代では多い。「カンブリア宮殿のヒト」「13歳のハローワークの著者」というと伝わることもあるが、作品を知っている人もそれほど多くはない印象だ。彼が作家デビューを果たした作品は「限りなく透明に近いブルー」。当時24歳で書き上げた物語は、文芸界に議論を巻き起こした上に芥川賞を受賞し、話題となった。そして単行本、文庫の発行部数は芥川賞史上1位の367万部となっている。

初めて読んだときには衝撃を受けすぎて、ラリったかと思った。多分これを書いたときの村上龍はラリってるんだと思うが、ラリってなくてもラリったときの体験をそのまま文章にしたらこういう文になるんだ、と思う、衝撃の表現力、文章力だった。

ものを読むということは、その登場人物の体験を追体験できたり、想像して自分の価値観が増幅させられたりする。あるいは何かの役に立ったり、概念をあたらに知ることで、自分の幅が広がるということもある。

「読み返したら、また違う視点で読めて面白かった」そういう読み方もあるとは思う。しかし、そういう次元ではなく「らりるってこういう感じなんだ」という、感覚や脳神経への影響さえも、文章を読むことで知ることができるのか、と衝撃を受けた。

性的な描写、ドラッグ、若者の苦難、米軍基地の存在。テーマは複数描かれているが、そこには確固たる描写の美しさと、衝撃が存在していた。

この作品を読んだあとに、「69」「イン・ザ・ミソスープ」などを読んだが、いずれも衝撃的。脳を直接ぶん殴られるような衝撃がはしった。

何がすごいか、というのは、これほどの作品をその年齢にして描いているという村上龍自身の暴力性と突破力。こういう人間って存在するんだなという威力に酔わされていた。

「限りなく透明に近いブルー」

(Amazonより)

94年2月生まれ、雑司が谷在住のフリーランスライターです。レオパレス21やヤフーのオウンドメディア、テッククランチでのライターをやっています。あとはIoT/DIY/ライフスタイルなど幅広めの連載をやったりしています。エッセイスト志望
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